モテたくないけどモテ香水

sachiko_deli2006-11-10

近頃なんでも「モテ」がつく。モテメイク、モテ服、モテスタイル…そんなにみんなモテたいか。ハタチ前後のお嬢さんたちは、勝手にモテたがればいい。モテてどうするんだろう?という疑問がいつもつきまとうが、自己顕示欲と、モテなかったらどうしようという不安とが入り混じって、自分の好き嫌いは関係なく「モテ」にひかれていくのだろう。「これでモテまくり♪」「これ使ったら男の人に誉められてばっかり」とか、コスメに限らずこういう感想をいろいろなメディアでみかけるが、どうも皆さん、ご苦労さま。どんどんモテてくれ。それしか頭にないのだろう。

この「モテ」がついた時点で、ひいてしまう人もたくさんいると信じたい。私ももちろんその一人。別にモテようがモテまいがどうでもいいから。モテというのは、だいたいからして他人から見た自分に関する表現であって、自分の意思とは別の次元の言葉なのではないだろうか。いや、言語論はやめよう。とにかく、私は「モテるから」という理由だけで、何かを使ったり買ったりするのは、反対である。
逆に、どんなものであっても自分が好き、面白い、興味がある、と思って取り入れる分には大賛成。「モテ」がついているから、と嫌がる人もいるが、その言葉や風潮がイヤでなければ、波にのってもいいと思う。
さて、そんな「モテ」の大波に乗って私が買ったのが、いわゆる「モテ香水」。昔は、YSLのベビードール(略:ベビド)くらいだったけど、今では安くてキラキラして、おピンクだらけの香水(という言葉に合うかどうか不明だが)が、どこの香水売り場でもてんこ盛りである。私は上記のように、たとえ「モテ」ものであっても、自分の五感にピンと反応するものがあるかもしれないので、一通りチェックはする。でも、どれも似たような香りばかり。どれがどれだかわからなくなる。香水というのは、ボトルとかパッケージ、コンセプトに非常に重点がおかれるものであるが、こうした香水はだいたいが「モテ」に集約されているのか、若い女の子が彼氏ができるように、彼氏に可愛いと言われたいように、みんなに可愛い香水持ってる(使ってる)と思われるように作られているんだろうなあ。それなりに可愛いのもあるし、スタイリッシュなのもあるけど、やはりオバサンとしてはちょっと売り場を離れたくなる恥ずかしさがある。
が、その中で私が気になっていた香水のテスターを発見。ネットのお店で「ロイヤルミルクティーの香り」と書いてあった香水だ。エステルドバルローズというところのインハートというシリーズの第3弾、「ハニーハート」。すりガラスの手のひらに乗るくらいのハート型。もうハート型というだけで、私のような者はドキドキしてしまうのだが、恐る恐るムエットにプシュッ。あ、本当だ!ロイヤルかどうか知らないが、とにかくミルクティーの香りがする!私はもともと「紅茶の香り」のものが香水に限らず好きなので、一気にこのハニーハートが欲しくなった。ネットで見かけたときは本当かなと思ったが、ミルクティーの甘い香り、でも決してべたつくような香りでないところが結構いい。人工的な薬臭さはほとんど気にならない。よくあるミルクティーの飴みたいな、そんな感じだけど、なんだか嫌味がないのよね。ムエットを嗅いでいる私に近寄ってきた店員さんが、「今とっても人気があります…。」うんぬんの説明を始めた。「いい香りですよね〜。」などと返していたが、店員さんのキメ台詞「男性受けもいいですし。」…これが来た瞬間、ああ、やっぱりと固まった。そう、これもいわゆる「モテ香水」なのよね…。残念ながら、私はモテなくて結構です、若くないです、職場にも男性はいない(女性ばかりの職場なのである)し、オトコ受けを狙う気は全くないです、と心の中でつぶやきながら、とりあえず笑顔で、お店を後にした。
ああ、モテ香水か…。でもやっぱり欲しいなあ。前述したように、私は自分がいいと思ったものは買う。今回は私の感覚にぴったり合うし、お値段的にもお安くて手に入れやすい。よし、買ってしまおう、と早速ネットで購入。2000円代だったかな。3000円はしなかったと思う。最近、香りに関するものが異常に好きで買いまくっているのだが、これもそのブームの一部だ。他の香水も注文し、数日後、手元に届いた。
瓶はハート型でほとんど飾りもないのだが、プラスチックのケース(普通、香水は紙箱が多いけど)…というか、パッケージがロイヤルミルクティー色のレースみたいな感じで可愛い。たまにはこういうのもいいな。モテだろうがなんだろうが、自分が好き、可愛いと思えればいいやと、改めて思った。でもオトコ受けを狙ってつけてるんだろうと思われるのはイヤだけれどねえ。これは仕方ない。

 実際、つけてみると、香りの変化はほとんどない。でも持ちはわりといいと思う。甘いからだんだん気持ち悪くなるかなと思っていたけれども、全然大丈夫だ。甘めの香りなので、苦手な方は本当に苦手だと思うけど、紅茶の香り好きの方には、珍しい一品ということでお勧めかも。アールグレイとか、お茶とかは結構あるけど、ミルクティーは私の知ってる限りないからなあ。
 そんなわけで、皆さんも香水に限らず「モテ」ワールドへもどんどん分け入ってみて欲しい。思わぬ品がみつかるかも。そういうものを探すのが、また面白い。