磐田市香りの博物館を訪ねて

sachiko_deli2006-08-16

お盆休みを利用して、相方の実家の磐田市に帰ってきた。マイナーな土地だが、ゴン中山がいるジュビロ磐田のある静岡県西部の町である。何度か帰ってるけど、そのたびに車から「高砂香料」の文字があちこちに見える。高砂香料といえば、食品を始めいろんな香料を作る会社。あんまり知られてないけど、香り好きの私はものすごく町中にある「高砂香料」の文字に反応していた。聞けば、高砂香料の工場が近くにあるんだとか。なるほどねえ。

相方の家の最寄り駅ではないけれど、東海道線の「豊田町」駅というところから徒歩5分のところに磐田市香りの博物館というのがある。以前から行ってみたい!と思っていたが、今回とうとう行くことになった。どうもここも高砂香料の関係だろうとは相方の弁。なるほどね。こんな田園と工場しかないような地域になぜ香りの博物館なんてお洒落なものがあるのか不思議だったのだ。

さて、博物館に到着。こぢんまりしているけど、可愛い建物。カフェみたいなのがある。どうやらハーブティーとかも飲めるらしい。入館して、まずは順路通り2階へ。人が一人座れるくらいの個室が5つくらいあって、それぞれ「○○の部屋」と書いてある。一人で入って椅子に座ると目の前の画面にメロンの絵。そう、ここは「マスクメロンの部屋」である(メロンはこの地方の名産)。それを触ると、シューッという音とともに甘いメロンの香り。画面がメロンの説明をしている。マスクメロンのマスクは、じゃこうねこの香り(ムスク)からきているんだって。知らなかったので「へえええ。」と私は思わず声に出してしまった。
その他、藤の部屋、ミイラの部屋、アイスクリームの部屋などいろんな香りと説明を楽しんだ。
 次は、香りの説明の部屋。説明ボードとその香りを発している箱みたいなのがその前にあって、香りを嗅ぐシステム。クレオパトラが愛した「キフィー」という香りのがなんだか、高貴な感じでよかったなあ。サフランとか、そういうものが入っていたらしい。
 その次は、香り当てクイズコーナー。8個くらいの箱の中身の香りを嗅いで、何かを当てるというもの。ナポレオンが愛した香りから、ビスケットの香り、オレンジの香りまで、いろいろ揃っている。
 次が展示のメインかな。香炉や香水瓶の本物が飾ってある。そんなに数はないけどね。そして、4つ画面があって、それぞれにボタンがついていて、知りたい項目を押す説明が流れる。ここもミイラの作り方が面白かった。なんだかさっきからミイラミイラ行ってるけど、昔からすごく興味あるのよね。あと、日本の香道の道具なんかも飾ってあったなあ。香道もやってみたいけど、私、煙臭いのがどうも苦手なので無理かも。香木もいくつかあった。香木って、ほんのちょっとでたしかウン十万、ウン百万するんだよねえ。今は白檀(サンダルウッド)の乱伐など、香料界でもいろいろ問題が噴出しているらしい。目からうろこだったのが、オー・デ・コロンの語源。もともとは、「ケルンの水」という意味なんだそうだ。ナポレオンも愛したというこのケルンの水。う〜ん、普段使ってる言葉だけど、勉強になるなあ。あら、みんな知ってた?私だけ?
 有名なハンガリーウォーターの話もあった。ハンガリーの女王が年老いて元気がなくなってしまったため、家来が「この化粧水をおつけになればお美しさを取り戻せます」と、ハンガリーウォーターと何十歳も年下の他の国のイケメン王様の肖像をもってきた。女王はハンガリーウォーターで本当に若返り、見事イケメン王様をゲット、というのがだいたいのお話(いろいろバージョンはある)。ハンガリーウォーターのレシピも書いてあった。ローズマリーとかを使ってたかな。私が以前聞いたのは、ラベンダーを使ってたけど。これもいろいろバージョンがあるのね。名前もハンガリンウォーターという時もあるし。

 展示はこんな感じで、結構楽しめた。相方も連れて行ったが男の人でも結構面白がるかも。子どもさんでも大丈夫だろう。
 さて、次は私の中でのメインイベント、「自分だけの香水作り」である。2100円〜自分の好きな香りが約20分程度でできるという。随時受け付けだから楽チン。まず、女性用8種類、男性用5種類からベースとなる香りを選ぶ。これがとにかく悩むんだよなあ…。これもいい、あれもいい、ととにかく悩む。トップは何で、ミドルは…という説明が書いてあるのでそれも参考にしつつ決める。私はバニラが苦手なので、ラストにバニラが入っていないものを選んだら3種類くらいしかなくなってしまったのである。私が最終的に選んだのは、シプレ系の香り。ちょっと私のもってないタイプの香りだ。トップにバイオレットリーフ、ラストにムスクとサンダルウッド。ミドルは…忘れてしまった。ははは。だって、とってもたくさんあってとっても悩んだんだもの。とにかく、そのうちから相方はグリーンフローラル系の爽やかな香りを選んだ。いわゆるオッサン香水の香りでもない。ユニセックスでもいけそう。
 これを選んだら、パソコンに移動。いくつかの質問に答えていく。顔の形とか髪型とか痩せているとか太っているセミロングとかスポーツ刈りとかそんな質問。ま、イメージを考えてくれてるのね。あとは、よくあるどんな女性のイメージになりたいか、みたいな質問。「エレガントな女性」「クラッシックな女性」…こういうの一番困る。直感で答えればいいんだろうけど。最後に、画面にたくさんの○が出てきて、いろんな色で塗られている。半分ずつ塗られているものもあれば、○全部同じ色もあり…これ、カラーーセラピーとかでよくあるよね。それを選んで、自分が最初に選んだベースの香りを入力して質問終了。結果がプリントアウトされる。ここまではなんと無料である。なんと良心的なことか。
 このあと、実際にそのレシピで香りを作ってみたいという人はお金がかかる。ボトルによって料金が違うが一番安くて2100円。私は2600円のものを選んだ。
プリントアウトされたレシピは3種類。まず、マイフレグランスというどんぴしゃりのもの、そして、朝などスッキリしたいときのもの、華やかにしたいときのものである。それぞれよく見ると分量が違う。スッキリしたいときのものと迷ったが、マイフレグランスにしてみた。プラスチック製のミニビーカーやスポイトなどの道具と、ベース(最初に自分で選んだもの)とボディとアクセントの3種類の香料瓶が渡される。これをレシピ通りにビーカーに入れていくのである。で、混ぜ混ぜして完成!私は途中でこぼしたり、勝手にアクセントを多く入れてみたり、出来上がりの分量が違ったり(算数ができない)で、恐らくレシピに書かれているものとは微妙に違うと思うが、とにかくボトルに入れて完成した。私のフレグランスは、オリエンタルシプレ系かな。雰囲気で言うとゲランみたいな。ちょっと大人な感じである。相方は万人受けする柔らかいグリーンフローラルでかなりいい香りに仕上がった。本当に所要時間20分程度。このデータは残っているので、同じ香りが欲しくなったら空き瓶を持っていけば1000円でまた作れるのだそうだ。ちなみに、この調香自体は、1階で行なわれていて、入館料(300円)を払わなくてもいい。その他、ハーブティーカフェもあるようだが、時間の都合でここはパスした。

 それにしても、香り大好きな私にはとっても面白かった!博物館としてはどうかと思うが、香りに関することに包まれているのがなんとも幸せだった。調香も安いし、面白いのでもしお近くにいらした際はお寄りになってみた頂きたい場所である。